所有と経営の分離
資本と経営の分離ともいい、所有者支配から経営者支配へ移行することをいう。
まず支配とは、支配者が他者の意思決定・行動に抗い難い影響を与えることである。
企業は、誕生した時、活動の源である資本を提供した所有者に支配される。
これが、所有者支配である。会社の所有者である人物の支配には、正当性がある。所有者の意思決定は会社組織の意思決定となり、その文化形成に大きな影響を与える。
株式会社においては、活動の発展や人員規模の拡大によって株式を販売し、その発行数を増やすことで、小額かつ多数の資本家や投資家の援助を受けるようになる。この過程により、所有者はその影響力を薄めていく。
小額の株式所有者(特に投資家)の望みは、配当額の向上であるので、経営状態の健全化や利益率向上につながっていく。ここで、経営のプロフェッショナルである専門経営者が要請されるのである。
<両支配の比較>
- 所有者支配(資本を投じた本人による支配)
- 投資家と経営者との間のコンフリクトは生じない
- 意思決定が迅速
- 同族経営となりやすく、長期・安定的な経営になる
- 客観的な評価をしずらく、独断・独走を許すことになりやすい
- 経営者支配(専門経営者による支配)
- 経営に関する経験・知識を備えた人物による支配になりやすい
- 所有者からの経営者交代により、組織変革を行いやすい
- 所有者からの影響力が弱い時、自由裁量が増えやすいため、コーポレートガバナンス体制の構築・整備が必要である