齋藤孝 感化する力

  個人的に、人を感化し影響を与える力について、誰もが持つものだと考えている。例えば会議に出席して、難しい表情を作って何も発言しなくとも、それは同席する人に何かを感じ取らせ、会議の結論に不満があるのか? と問わせる。

他者に行動を取らせるのである。

吉田松陰は誰もが持つ「感化する力」が異様に強かった。

だから、かの有名な松下村塾の出身の塾生たちは明治政府・維新の礎を築いたとされる。

具体的に「感化する力」とは何なのか、知ることを目標に本書を手にとった。

 

吉田松陰に纏わる子細な経歴やその活躍の背景、著書については多くのメディアで著されている通りなので割愛し、本書を読んでの感想を以下に述べる。 

感化する力 ―吉田松陰はなぜ、人を魅きつけるのか

感化する力 ―吉田松陰はなぜ、人を魅きつけるのか

  • 作者:齋藤 孝
  • 発売日: 2015/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

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コミュニケーション経路

サークル型

  • 巡るように伝達される=意思伝達は遅い/誤りが含まれる
  • 協力行動・集団規範が見られる
  • 満足感が高く、モチベーションが高い
  • 複雑な問題解決に有利

スター型

  • リーダーを中心とした伝達=意思伝達が迅速/誤りが少ない
  • 集中権限
  • 統制がしやすい
  • 指示待ち行動、モチベーションが低くなる
  • 複雑な問題の解決には不利

年功賃金と長期雇用

日本型経営の3種の神器

環境の中の各ステークホルダーの長期的な関係構築を目的としている

※ 取引慣行や企業統治にも現れている

 

勤続年数や年齢に応じて役職・賃金を上昇させることで、「従業員と企業との安定的な関係構築の基盤」であるといえる。

  1. 若年齢時代=生産性<賃金(育成・投資対象)
  2. 中年齢時代=賃金<生産性(投資回収)
  3. 高年齢時代=生産性<賃金(投資対象)

年功とは、「長(年)の(功)労・(功)績のこと」であるが、1時間あたりに組織へ貢献する価値でみた生産性からいうと、高年齢時代はだんだん低くなっていくと言える。

しかし、勤続年数があがることによって、経験スキル・ノウハウが蓄積されるというメリットがある。

 

年功序列制のメリット

  • 帰属意識による定着率 UP
  • 育成システムの構築
  • 評価コストが低い
  • 年功序列制への整合性が高い

年功序列制のデメリット

  • 組織の評価基準が勤続年数であるため、社員は目的意識を持ち図楽、生産性向上が難しい
  • 社員の高齢化による人件費高騰
  • 若手社員のモチベーション維持が難しい
  • 不確実性への対応が難しい(意思決定層の多様性の欠如。新奇性によるイノベーション創出が容易ではない)

 

 

 

内発的モチベーション向上のための人事施作

内発的モチベーション

;行動自体が目的となっている状態で、潜在的な創造性を実際に活かす(能力の活用)ための原動力となるもの。ワークモチベーションでは、自らの有能さと自己決定がその要因となる。

妨げとなるもの

ある条件に発生するアンダーマイニング効果/競争/やり方への制約/監視

 

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社会的ネットワーク

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社会的ネットワーク

;個人や集団などの主体間のつながりのこと

  • 結びつきが強い/ネットワーク密度が高い=強紐帯、結束型ネットワーク

特徴

  1. 頻繁に接触がある・やり取りの機会が多い(家族・同じチームの同僚など)
  2. 共通項が多い=文脈が共有されている同質的(価値観が同じ)
  3. 相互理解が進んでいる=協力行動が多い/調整が円滑(新たな決定前提の理解が早い)
  4. 信頼関係が構築できている
  5. 凝集性(この集団のメンバーならば…という期待)が高い
  6. 集団規範をうみ、さらなる同質化が進む
  7. 閉鎖的なコミュニティとなりやすい

 

  • 結びつきが弱い・緩やか/ネットワーク密度が低い=弱紐帯/橋渡し型ネットワーク

構造的空隙が広い・大きいほど緩やかで弱いつながりで、異質なコミュニティに所属している

特徴

  1. 頻繁な接触・やり取りはない(普段合わない親戚、元同僚など)
  2. 触れる情報に重複が少ない
  3. 広い範囲から多様な情報が得られ、目標のブレイクスルーやイノベーションを促進するなど、より良い意思決定につながる可能性が高い
  4. そのため、役に立たない情報であることも多い

 

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同業種の同型化

特定産業における組織の同型化の原因=活動する環境が同じ

組織はその生存のために環境に適合しようとする。つまり、環境の要請に答える必要がある。

このことから、同じ環境で活動する組織の構造・活動は類似していく。

 

類似理由は、大きく分けて以下2点が考えられる

  • 競争的同型化(経済的効率性を含む、環境との機能的適合)
  • 制度的同型化(一見逆機能的ではあるが、社会的な正当性への対応のための適合)

 正当性;社会に構成された規範・価値観などからなるシステム(制度的環境)における、組織に対する望ましさ・正しさ・適切さなどについての一般的な知覚。組織が外部から認められた結果として得られるもの。組織は、これに活動の自由を制約されている。

  1. 強制的同型化(強大な力を持つ外部からの圧力による)
  2. 規範的同型化(専門家クラスターの、それぞれ属する組織で活動による)
  3. 模倣的同型化(不確実な状況下で、ある組織の成功行動を模倣することによる)

 

事例としては、

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