組織変革とリーダーシップ

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 組織変革

;組織ルーティー(組織内の意思決定や行動のパターンのこと)に含まれる、組織構造や組織文化、社会的ネットワークや組織プロセスを変更すること。

  • 変革プロセス
  1. 導入(知識の喚起・変革への態度形成・方向性の評価・決定が含まれる)
  2. 実行
  3. ルーティン化

 ※ 既存の利害関係が変更されるため、個人・集団レベルでの抵抗は不可避

 

→ リーダーシップでは、職務遂行のための「マネジメント」でなく、変化の道筋を示して推進する役割が求められる。

  • 代表的行動
  1. 魅力的なビジョンを示す(知的刺激を持って全て知識を疑い、新たな価値観を語る)
  2. ビジョンに基づいてメンバーを動機付ける(多様性を受け入れて個人に対する配慮を示す)
  3. 具体的な行動を示す(メンバーが活動するにあたり必要となる環境・構造を整える)
  4. 積極的にリスクを負う姿勢を示す(メンバーの見本となる/コンフリクトへの対処を行う)

従業員の満足度

  • 動機付けー衛生理論(2要因論)

 職場への満足・不満は独立した2次元で条件が異なっている。

 満足へ導く条件=非仕事そのものや成果、その評価など(達成・承認・仕事・責任・昇進)

 不満足へ導く条件=仕事を取り巻く環境(会社の政策・管理・監督・作業条件・対人関係)

 

  • 職務特性論

 内発的モチベーションに影響する職務特性を明らかにし、特性が高まる職務設計を目指す。

  1. 技能多様性
  2. タスク重要性
  3. タスク完結性
  4. 自律性(許容する自由・裁量の程度)が高い
  5. 明確なフィードバックが得られる

 これにより、個人は仕事の有意義性・責任を感じることになり、内発的モチベーションを向上し、仕事に対する満足度を高める。

 

  • 組織コミットメント

 所属する企業へ、従業員が一体感や愛着を感じることによって、個人に課せられた役割を超えた組織のための行動へ駆り立てる。

 

従業員のパフォーマンスは、彼らの感じる職務への満足感によって高まる。

また、このような貢献意欲の高まりは、個々の能力向上の一助となる。

モチベーション・能力が揃ったとき、機会が与えられると高い成果があげられる。

 

モチベーション過程説

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人間は個人的価値観を絶えず変化させるダイナミックな存在である。組織への貢献・働くことへの意欲も変動的であり、その過程について考察する。

弱点:合理人仮説(人は自分の利害について必ず最適な判断をする、不利になる行動はしない)が前提である

 

  • 公平説

 努力がライバルと比べて公平に報われているか。という個人の認知がモチベーションに影響すると考える。

  1. 分配的公平(分配された報酬・決定事項に対して個人が感じる正しさ。他者の受けた報酬・その人の努力と自分のものを比べる・・衡平理論)
  2. 手続き的公平(報酬が配分・決定されるまでの手続き・過程について個人が感じる正しさ)
  3. 相互作用的公平(結果に至るプロセスでどれだけ個人的配慮・誠意が示されたか)
  • 強化説

 個人の行動は適切な報酬を適宜受けることで頻出するようになる。

 ポイント:報酬と罰のタイミング

  • 期待説

 個人が、努力についてニーズを満たせる可能性がどれくらいあると認知することがモチベーションに影響を与えると考える。

 努力すれば相応の成果が得られるという「期待」×その成果が報酬につながるという「手段性」×その成果がその人にとって価値ある報酬である「誘意性」=モチベーションの強さ

  努力→(期待)→成果→(手段性)→報酬(誘意性)

   ※  3点は積算的関係にある

 ポイント:全て個人の認識による

  • 目標設定モデル

 意思決定に参加ができるとき、自分の能力・資質から達成可能な目標を立て、成し遂げ、評価を得て、新たな目標を立てる循環がモチベーションが向上すると考える。

 目標は具体的で挑戦的な物がモチベーションを喚起する。

 ポイント:目標へのコミットメント/自己効力感(過去の体験から課題を達成できるという確信・期待のこと)

事業部制組織

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事業部制組織

トップマネジメントの下に複数の自己充足単位に分けた組織。

事業展開のため主要な機能を持っているユニットごとに分けられているため、ユニット内での調整が可能で独立採算が成り立つ。

自己充足単位は、製品・サービスごとや、顧客・活動エリアなどにより分けられる。

 

  • メリット
  1. 業績責任の所在が明確
  2. ユニット間の競争が促進され、メンバーのモチベーション向上につながりやすい
  3. トップマネジメントの権限集中・負担の軽減
  4. 次世代経営トップの育成が容易
  5. 現場に即した迅速な意思決定が可能
  6. 指揮命令系統は一元化されている

 

  • デメリット
  1. 経営資源の重複
  2. 人材の点在により、専門性が分散され、知識の蓄積や規模の経済が働きにくいこと
  3. ユニット間コンフリクトが発生しやすい
  4. コミュニケーションコストの増大

 

ユニットとしての下位目標と組織目的が明確に接続されているとき、事業部制組織は他の組織構造に比べて責任が明確であるために下位目標にコミットしやすく、

またコミュニケーションコストが低減されるため、組織は成果を上げやすくなると考えられる。

年功序列の賃金形態

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年功序列賃金

新規学卒者を一括採用し、一律の初任給を支払う。入社後しばらくは賃金に差をつけず、30代に入る頃から蓄積された人事評価に応じて少しずつ賃金差をつける。それ以降は徐々に賃金差が拡大する。

 

日本企業に多く見られ、日本型経営の特徴とも言われる「企業が長期的関係を構築すること」を前提とし構築されている。

 

  • メリット:組織に居続けることで貢献意欲が高まる

人材定着しやすい

 ・賃金が上がり始める年齢まで所属しようとする功利的な組織コミットメントy

帰属意識が高まる

 ・組織への愛着、一体感を感じやすい。組織コミットメントが高まり、組織市民行動を促す

安定した人間関係の構築

教育システム

 ・長期的視野での人材育成が可能

人事評価コストを減らすことができる

 

  • デメリット:

若い時期のモチベーション低下

 ・能力、実績がすぐに反映されない

  実績の乏しい新規学卒者の段階で、潜在能力を評価され入社するも、それを発揮する機会を与えられずらい。自己実現欲求・達成動機が満たされずらい。

  賃金差が生じる時点での人事評価でなく、蓄積された評価によって報酬が変化するため、透明性の高い評価になりにくい。

 

人件費高騰

ぶら下がり社員の発生

 

 ・

組織プロセス

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組織の公式構造や自生的構造、組織文化により決定前提が共有されているが、ここで決まりきっていない決定前提はコミュニケーションによって調整される。

決定前提を調整することは次の決定前提を関する制約となり、この影響は小さくない。

この際に、個人性の浸透・顕在化が見られる。これを組織プロセスという。

 

そもそも、組織へ参加する個人の目的と組織目的には乖離があるという前提にたてば、公式構造に個人の目的(個人要素)が入る余地や隙間がある場合、それが表出するのは道理であると考えることができる。

 

個人は、個人自身やその属する集団の目的達成のために影響力を行使する。

その行使は、方法や影響により、以下の3点に分けられる。

  1. リーダーシップ
  2. ポリティクス
  3. 組織ダイナミズム

リーダーシップについては以下記事に説明を譲る。 

hhnk.hatenablog.com

 

このような目的による個人的な影響力(パワー)の強さの根源には、以下の4点があると考えられる。

  1. 資源の希少性と偏在性、重要性
  2. 個人の特性
  3. 社会的資本
  4. モニタリング能力

 

1。ここでいう資源とは、他者を支配するに十分な動機付けを行うことができるモノのことである。その母数は多くなく(=手に入れられる機会が少ない)、平等に配分されず(持つものと持たざる者がいる)、重要である場合(その主体の存続に関わるなど)、それは影響力を持つ。

 

2。カリスマ的特性を持つもの、支配パワーを持つ。

 

3。社会的ネットワークを複数、多様に有するものは、これ自体が資源となる。

情報網として活用したり、ブローカーとなって紹介することで、他者の貢献を促す誘因を生むことができる。

 

4。影響力を発して行動を促したとしても、その結果や行動自体を把握できなければ口約束で終了させてしまうことができる。影響力の結果を監視されている・することができると他者が感じて初めて、影響力は効力を持つのである。

 

 

 

 

組織均衡論とモチベーション

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組織均衡論

バーナードによる。

組織の存続条件について定義している。

組織に関わる主体(ステークホルダー)は、組織の活動に参加することで、組織から誘因となるメリットを受け取る。その見返りに、ステークホルダーは組織への貢献を行う。

この誘因が、貢献と等しいかそれを上回る場合、ステークホルダーは組織へ参加を続け(離脱を免れ)、組織は存続していくことができる。

 

組織の構成員においては、誘因を受けるにあたり、権限関係を受容することになる。

 

  • 参加の意思決定(組織の構成員になろうという決意)

モチベーション論の導入

ー内容理論的見地から

●欲求階層モデル

組織への参加

=賃金などの報酬獲得=生理・安全欲求の充足

=組織の相互関係の一員になる=所属・社会的欲求の充足

 

ー過程理論の見地から

●期待理論

組織への参加≒賃金獲得(保証が法律でされている)

できる期待【魅力(賃金)の獲得】のための努力(労働力の提供)は行われる

 

●達成動機説

外発的モチベーション(賃金)により動機付けられて行動(参加)する

 

 

 

  • 生産的な職務遂行へのの意思決定

モチベーション論の導入

ー内容理論的見地から

●欲求階層モデル

生産的な職務遂行=潜在的能力の発揮、それによる職務遂行能力・人間性の成長

自己実現欲求の充足

 

ー過程理論の見地から 

●達成動機説

仕事そのものを行動目的とする内発的モチベーション

 

ーその他

●組織コミットメント

職業的コミットメント・愛着コミットメントなどが高く働いている

→組織市民行動(個人の役割を超えた組織のための行動)を行う可能性が高い